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館蔵品の中から、国宝の短刀2点「名物 日向正宗(ひゅうがまさむね)」と「名物 徳善院貞宗(とくぜんいんさだむね)」をはじめ、重要文化財7点を含む刀剣、および蒔絵の(こしらえ)などを一挙に公開いたします。また三井家の遠祖 三井高安(たかやす)所用の甲冑(かっちゅう)と、春日大社に伝来し火災で焼損した大鎧(おおよろい)を近代に三浦助市(みうらすけいち)が模造した甲冑、そして絵画では掛軸の武者絵のほか酒呑童子(しゅてんどうじ)絵巻や十二類合戦(じゅうにるいかっせん)絵巻など、どこか漫画チックな合戦絵巻も展示いたします。特集展示は、近代に製作された三井家伝来の五月人形ですが、まとめて公開するのは初めてのことです。

展覧会の趣旨

江戸時代は「日本一の商人」として、近代以降は日本最大の財閥として発展した三井家は、商人の家系ですが、元祖三井高利(たかとし)の祖父三井高安(たかやす)は、戦国時代に近江の佐々木六角氏に仕えて越後守(えちごのかみ)を名のった武将でした。六角氏が滅亡したあと伊勢国に移り住み商人となりますが、一族の間では後々まで先祖が武士であったことが意識されてきたことと思われます。それがうかがえるのが三井高安の所持と伝わる甲冑2点です。三井家の先祖を祀った顕名霊社(あきなれいしゃ)のご神宝とされてきました。

三井家から寄贈された美術品の中には、国宝・重要文化財の名刀をはじめ武器武具が少なからずあります。名刀のいくつかは紀州徳川家との関わりから伝わりましたが、鷹司家との婚姻で伝わった刀剣などもあります。

絵画や工芸品にも武者の絵が題材とされたものがありますが、北三井家十代の三井高棟(たかみね)が好んだ象彦(ぞうひこ)の漆器や蒔絵額には、三井家の先祖佐々木氏にゆかりの宇治川先陣争いの画題が好まれています。

特集展示の三井家の五月人形は、まとまった展示は今回が初めてです。刀剣・甲冑・弓矢・鉄砲などの武器武具、神話や芸能などを題材とした人形など、主に近代に製作されたものですが、それぞれ漢字一文字で所持した人を表す「御印(おしるし)」別に展示いたします。五月人形も財閥時代のものは豪華です。

以上、武士を先祖とした三井家のこだわりの一端をご覧いただきます。

展示構成

展示構成は以下のように展示室ごとのテーマで展示いたします。

展示室1
短刀と刀装具 国宝「日向正宗」
展示室2
国宝「徳善院貞宗」
展示室3
如庵 茶道具の取り合わせ
展示室4
名刀と甲冑・武者絵 酒呑童子絵巻
展示室5
十二類合戦絵巻と武者人形・能人形
展示室6
ミニチュア五月飾り
展示室7
三井家の五月人形

主な出品作品

展示室1短刀と刀装具 国宝「日向正宗」

最初に、短刀と(こしらえ)などの刀装具(とうそうぐ)を展示しますが、最初のケースで重要美術品の短刀「名物豊後正宗(ぶんごまさむね)」[図2]、奥の中央ケースで国宝「名物日向正宗(めいぶつひゅうがまさむね)」[図1]と拵を展示いたします。館蔵の正宗の名物短刀2点を一緒に展示するのは久方ぶりです。それに合わせて鷹司家(たかつかさけ)寄贈の短刀「八重姫貞宗(やえひめさだむね)」と拵も展示し、展示室2の国宝「徳善院貞宗(とくぜんいんさだむね)」とともに正宗と貞宗の作風の違いがうかがえます。このほか、象彦の宇治川先陣蒔絵(うじがわせんじんまきえ)の硯箱[図3]と料紙箱、太刀や脇指の蒔絵拵[図4]など、短刀の名品と華やかな刀装具などでお迎えいたします。

展示室2国宝「徳善院貞宗」

貞宗は、正宗の実子とも養子とも伝えられますが、相州伝(そうしゅうでん)の二人の最高傑作が展示室1と2で見られます。大きさ的には脇指(わきざし)といえますが、国宝指定書では「短刀」として指定されています。豊臣秀吉が所持し、五奉行の一人前田徳善院玄以(とくぜんいんげんい)が拝領したところから、「徳善院貞宗(とくぜんいんさだむね)」と呼ばれました。その後徳川家康、紀州徳川家、西条松平家へと伝わり、おそらく近代になってから三井家に伝わりました。

展示室3如庵 茶道具の取り合わせ

展示室3は織田有楽(おだうらく)の茶室「如庵(じょあん)」を写した展示室です。明治40年頃から北三井家が所有した国宝の茶室で、戦後に名古屋鉄道の所有となり犬山市に移築されました。

ここでは五月の節句にちなんだ茶道具の取り合わせです。床には三井高就(たかなり)筆の八幡太郎義家騎馬像(はちまんたろうよしいえきばぞう) 大綱和尚讃(たいこうおしょうさん)、茶碗は永樂保全の色絵兜菖蒲文平茶碗[図7]、茶器は黒中棗(くろちゅうなつめ)、茶杓は吸江斎(きゅうこうさい)梅木茶杓(うめのきちゃしゃく)(銘薫風(くんぷう))、風炉釜は佐久間将監好(さくましょうげんごのみ)瓢箪風炉釜(ひょうたんふろがま)、水指は赤絵団龍文四方水指(あかえだんりゅうもんよほうみずさし)です。

展示室4名刀と甲冑・武者絵 酒呑童子絵巻

重要文化財7点を含む館蔵の名刀9点を一挙に展示いたします。このうち3点に蒔絵の(こしらえ)が付属しています。重要文化財の刀剣は、太刀(たち)(銘則宗(のりむね))[図7・8]、太刀(銘助真(すけざね))、薙刀(銘(いちもんじ))、太刀(銘国信(くにのぶ))、太刀(銘兼光(かねみつ))、太刀(銘基光(もとみつ))、刀(銘国広(くにひろ)加藤国広(かとうくにひろ))[図9]の7点、あとの2点は太刀(銘国宗(くにむね))と鷹司家(たかつかさけ)寄贈の太刀(銘貞真(さだざね))です。

甲冑は、三井高安(たかやす)の所持と伝わり、三井家の先祖を祀った顕名霊社(あきなれいしゃ)のご神宝とされてきた甲冑2点[図10・11]と、春日大社に伝来し火災で焼損した大鎧(おおよろい)を近代に三浦助市(みうらすけいち)が模造した甲冑[図12]です。

武者絵は、掛軸では狩野美信(かのうよしのぶ)筆の八幡太郎義家図(はちまんたろうよしいえず)[図13]、安田靫彦(やすだゆきひこ)筆の九郎義経(くろうよしつね)象彦(ぞうひこ)製の蒔絵額では巻狩蒔絵額(まきがりまきえがく)[図14]・宇治川先陣蒔絵額(うじがわせんじんまきえがく)などの武者絵です。このほか、亀岡規礼(かめおかきれい)筆の酒呑童子絵巻(しゅてんどうじえまき)全3巻の武者絵的な場面[図15]を展示いたします。この絵巻は各巻の長さが14m前後ありますので、場面を選んでの展示になります。

展示室5十二類合戦絵巻と武者人形・能人形

ここでは十二類合戦絵巻(じゅうにるいかっせんえまき) 全3巻を展示します。動物が擬人化されてどこか漫画チックで楽しい絵巻です。甲冑をつけた動物たちの合戦場面は人間さながらです。これも各巻10m以上の長さがあり場面を選んでの展示になります。

独立ケースでは五月飾りのうち、かわいらしい武者人形や能人形を展示いたします。

展示室6ミニチュア五月飾り

小さな展示室6では、五月飾りの中から、ミニチュア的な武器武具や旅道具を展示します。

展示室7三井家の五月人形

三井家の雛人形(ひなにんぎょう)は、桃の節句(せっく)ひな祭りの季節に「三井家のおひなさま」として恒例の展覧会となっていますが、三井家の五月人形を展示する機会は今までほとんどありませんでした。今回の展示がほぼ初めての展示になります。

端午(たんご)の節句の飾り物である五月人形や五月飾りは、武将や刀剣・甲冑・弓矢・(のぼり)など尚武(しょうぶ)の気風に満ちた武将や武器武具が主体となります。この度の「名刀と甲冑・武者絵」の展覧会にふさわしい内容といえます。

 展示する作品は、主に近代以降の財閥時代に製作されたもので、北三井家と伊皿子三井家からの寄贈品ですが、各個人を漢字一文字で表す三井家独特の「御印(おしるし)」ごとに展示いたします。

会期
2025年4月12日(土)~6月15日(日)
開館時間
10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(但し4月28日、5月5日は開館)
主催
三井記念美術館
入館料
一般 1,200(1,000)円
大学・高校生 700(600)円
中学生以下 無料
  • ※70歳以上の方は1,000円(要証明)。
  • ※20名様以上の団体の方は( )内割引料金となります。
  • ※リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
  • ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。
音声ガイド
音声ガイドでわかりやすく解説いたします。(日本語のみ、貸出料700円)
梶 裕貴 氏

ナビゲーター:  梶 裕貴 氏(声優・ナレーター)

ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」(日向正宗役)、TVアニメ「進撃の巨人」(エレン・イェーガー役)をはじめ、アニメ、ラジオ、洋画吹き替えなど多方面で活躍中。
声優20周年を記念してAI音声合成プロジェクト【そよぎフラクタル】を発足。

制作:株式会社アート・ガイダンス

※刀剣乱舞ONLINEとのコラボ企画ではございません。

PCブラウザ&スマホアプリゲーム『刀剣乱舞ONLINE』コラボ
キャラクターイメージ
©2015 EXNOA LLC/NITRO PLUS

国宝「短刀 無銘正宗 名物日向正宗」の展示を記念し、
「刀剣男士 日向正宗」の等身大パネルの展示等を予定しております。

入館
予約なしでご入館いただけます。
展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。

ご来館のお客様へのお願い

お問い合わせ先
050-5541-8600(ハローダイヤル)
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