展覧会情報Exhibition Information
次回の展覧会Next Exhibition
予告
2024/9/14(土)〜11/12(火)
10:00〜17:00
三井家のおひなさま
中央アジアに位置するバーミヤン遺跡の石窟に造営された、東西2体の大仏を原点とする「未来仏」である弥勒信仰の流れを、インド・ガンダーラの彫刻と日本の法隆寺など奈良の古寺をはじめ各所に伝わる仏像、仏画等の名品でたどります。なお2001年にイスラム原理主義組織・タリバンによって破壊された大仏の壁画を、調査時のスケッチと写真から作成した再現図を初公開します。
展覧会の趣旨
バーミヤン遺跡は、アフガニスタンの中央部を東西に走るヒンドゥークシュ山脈の中にあります。この地域は、古くからユーラシア各地の文化が行き交う「文明の十字路」とも呼ばれています。渓谷の崖に多くの石窟が掘られ、その中に東西二体の大仏がそびえていました。大仏の周囲壁面には「太陽神」と「弥勒」の姿が描かれていました。
本展覧会は、東西二体の大仏を原点とする太陽神と弥勒の世界に迫り、特に「未来仏」である弥勒信仰の流れを、インド・ガンダーラの彫刻と日本の法隆寺など奈良の古寺をはじめ各所に伝わる仏像、仏画等の名品でたどります。
バーミヤンの大仏と壁画は、2001年3月にイスラム原理主義組織・タリバンによって破壊されてしまいましたが、破壊以前に行われた調査時のスケッチと写真によって、このたび壁画の描き起こし図が新たに完成しましたので、東京にて初公開いたします。
バーミヤン遺跡とは
バーミヤン遺跡は、アフガニスタンの首都・カーブルから西北西に約120km、標高2500mの高地にあります。約1.3kmにわたる崖には、東西に高さ38mの「東大仏」と高さ55mの「西大仏」がそびえ立ち、800近い石窟群が掘られていました。
また、バーミヤンの地は、6世紀頃から交通の要所となり、多様な人々や文化が行き交い独自の文化が生まれ、「文明の十字路」とも称されています。
バーミヤン大磨崖窟全景
2000年 (撮影:菅沼隆二)図1
破壊前のバーミヤン西大仏
(画像提供:京都大学人文科学研究所)図2
展示構成と作品
東京初公開!!
展示室4東西二体の大仏と壁画の描き起こし図
バーミヤン遺跡の東西大仏の周囲には、壁画が描かれていました。東大仏の頭上には、ゾロアスター教の太陽神・ミスラの姿、一方西大仏の周囲には、弥勒が住まう兜率天の様子が描かれていたと考えられています。壁画は大仏とともに破壊されてしまいましたが、破壊前に行われた調査での写真・スケッチをもとに、新たに10分の1縮尺の描き起こし図が完成しました。本展覧会では、それら描き起こし図を東京にて初公開いたします。
バーミヤン東大仏龕天井壁画 描き起こし図(部分)
宮治昭監修・正垣雅子筆 2022年 龍谷ミュージアム図3
展示室4玄奘三蔵と『大唐西域記』
『西遊記』の三蔵法師のモデルとしてよく知られている、唐の仏教僧・玄奘 (602〜664)。玄奘は、20年近くにわたり中央アジアからインドへ旅をしましたが、インドに経典の原典を求めて旅する途中、630年頃にバーミヤンに滞在し、大仏の姿も実際に目撃しています。玄奘の旅行記である『大唐西域記』には、二体の大仏を含めバーミヤンの信仰の様子が書かれています。
重要文化財
玄奘三蔵像
鎌倉時代・13〜14世紀
東京国立博物館(Image:TNM Image Archives)図4
展示:9/14〜9/27
展示室1・3太陽神の信仰
東大仏の頭上に描かれていたのは、ゾロアスター教の太陽神・ミスラであるという説が有力視されています。インド地域においても、ミスラと同じ語源を持つミトラ神が古くから存在していましたが、紀元前2世紀頃にギリシアの太陽神・ヘリオスの図像がインドに伝わってからは、スーリヤが太陽神として後世まで信仰されました。本展覧会では、こうした太陽神の様々な姿や太陽神と仏教の関わりについてご紹介します。
スーリヤ柱頭
2〜3世紀 平山郁夫シルクロード美術館図5
スーリヤ像
4〜6世紀 龍谷ミュージアム図6
奉献小塔
2〜3世紀
平山郁夫シルクロード美術館図7
展示室4・5アジアの弥勒信仰
玄奘が『大唐西域記』にてバーミヤン東大仏を「釈迦仏」と明言しているのに対し、西大仏の尊名については触れられておらず不明でしたが、壁画の内容から「弥勒仏」であった可能性が明らかとなりました。
「弥勒」とは、現在兜率天に住まい、釈迦入滅後の56億7千万年後にこの世に下生するという、いわば未来の救世主です。弥勒は2〜3世紀頃のガンダーラの地域において既に信仰され、その後バーミヤンを含む中央アジア、そして中国・朝鮮半島へと広がりを見せました。本展覧会では、弥勒信仰の源流とアジアへの広がりについてご紹介します。
弥勒菩薩交脚像
2〜3世紀
平山郁夫シルクロード美術館図8
弥勒菩薩立像
3〜4世紀図9
菩薩半跏思惟像
東魏・武定2年(544)
台東区立書道博物館図10
展示室2・7日本の弥勒信仰
ガンダーラ・中央アジアで発展した弥勒信仰は、中国・朝鮮を経て日本にも伝わりました。6世紀の仏教伝来当初より弥勒の存在が重視されていたことが知られ、特に奈良時代に発展した法相宗の寺院では弥勒信仰が盛んとなりました。
また、平安時代後期以降も未来仏である弥勒信仰は一層の高まりを見せ、上生・下生信仰のほか、密教や阿弥陀信仰とも関連を持ちながら独自の展開を遂げました。本展覧会では、こうした日本の弥勒信仰を背景に生み出された仏像や絵画などを通して、様々な弥勒の姿をご覧いただきます。
重要文化財
弥勒菩薩半跏像
白鳳時代・天智5年(666)
大阪・野中寺図11
如意輪観音半跏像
平安時代・11世紀
大阪・四天王寺図12
重要文化財
弥勒菩薩坐像
平安時代・9世紀
奈良・法隆寺
(画像提供:小学館)図13
弥勒菩薩立像
鎌倉時代・12〜13世紀
和歌山・霊現寺
(画像提供:和歌山県立博物館)図14
弥勒菩薩立像
鎌倉時代・13世紀図15
重要文化財
弥勒曼荼羅
鎌倉時代・13世紀
東京・霊雲寺図16
展示:10/16〜11/12
(画像提供:東京国立博物館 Image:TNM Image Archives)
重要文化財
弥勒菩薩来迎図
鎌倉時代・13世紀
東京藝術大学大学美術館図17
展示:10/16〜11/12
弥勒菩薩像
南北朝時代・14世紀
奈良・法隆寺図18
展示:9/14〜10/14
展示室5弥勒に関する経典と図像
弥勒は様々な経典に登場しています。弥勒の上生・下生信仰を説いた「弥勒六部経」のほか、『法華経』類には弥勒が住む兜率天への往生と、阿弥陀如来が住む阿弥陀浄土への往生が説かれています。本展覧会では、弥勒の信仰・造像に影響を与えた経典や、様々な弥勒の像容を収めた図像などをご覧いただきます。
妙法蓮華経 巻第七
上元3年(676) 三井記念美術館図19
重要文化財 弥勒菩薩画像集
平安時代・12世紀 京都・仁和寺図20
展示:9/14〜10/14
- 会期
- 2024/9/14(土)〜11/12(火) ※会期中展示替えを行います。
- 開館時間
- 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 9月24日(火)、9月30日(月)、10月7日(月)、10月15日(火)、10月21日(月)、10月28日(月)、11月5日(火)
- 主催
- 三井記念美術館、読売新聞社
- 入館料
- 一般 1,500(1,300)円
大学・高校生 1,000(900)円
中学生以下 無料- ※70歳以上の方は1,200円(要証明)。
- ※20名様以上の団体の方は( )内割引料金となります。
- ※リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
- ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。
- 音声ガイド
- 音声ガイドでわかりやすく解説いたします。(日本語のみ、貸出料700円)
※団体の皆さまで音声ガイドをご希望の場合は、ハローダイヤル(050-5541-8600)で代表番号をお問い合わせのうえ、ご連絡ください。 - 入館
- 予約なしでご入館いただけます。
展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。
- お問い合わせ先
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)