展覧会情報Exhibition Information
次回の展覧会Next Exhibition
予告
2026/12/12(土)〜2027/1/30(土)
10:00〜17:00
国宝 雪松図と四季
年末年始の恒例となった、国宝の円山応挙「雪松図屏風」の公開。松に降り積もった雪を、塗り残した紙の白さで表す本作のように、東洋美術における四季・気象現象の表現には、一目では気付かない様々な技法や魅力が潜んでいます。本展では「雪松図屏風」を含む館蔵の書画・工芸品を中心に、移りゆく四季・気象を表す技法や、見立てに注目しながらご覧いただきます。
展示構成と主な展示作品
展示室1〜3茶道具にみる四季
うつわに四季の草花の図を施したり、あるいは焼き物の景色や形に、四季の風景や気象を見出し、銘によって象徴したりと、茶道具と「四季」のイメージは切っても切れない関係にあると言えます。本章では館蔵の茶碗や茶入を中心に、季節を感じさせる「銘」を持つ茶道具や、絵付けされた草花に注目しながら作品をご覧いただきます。かつての所蔵者が、茶道具の中にどのような風景や景物を見出したのかを想像しつつ、お楽しみください。
-

唐物丸壺茶入 銘淡雪
南宋時代・12〜13世紀図1 -

瀬戸橋姫手水指 銘有明
桃山時代・16〜17世紀図2
明け方の少し明るい空に浮かぶ月は「有明の月」と呼ばれます。季節を通じてみられますが、和歌や俳句では秋の季語として用いられることが多いようです。箱蓋裏の「くればまたみるべき影と思えども なごりおおかる有明の月」との和歌からの銘とみられ、半月のような釉景色 をふまえたものでしょうか。歌は『題林愚抄』に後鳥羽院の作として載る一首です。 -

斗々屋 茶碗 銘かすみ
朝鮮時代・16世紀図3 -

桜木地茶箱
江戸時代・18世紀図4
風合のある桜の木を用いて作られた茶箱です。蓋の内側には円山応挙の下絵による金蒔絵 で、流水に浮かぶ桜の花びらが優雅にあしらわれています。表面は地味な茶箱ですが、蓋を開くと美しい桜の蒔絵が現れるという対比的な趣向が特徴です。
展示室4四季と気象を描く
春夏秋冬、それぞれの季節の訪れを告げるもの、その季節らしさを体感するものとして「気象」が挙げられます。それらは雪や雷のような有形のものであったり、あるいは春のぽかぽかとした陽気、まとわりつくような夏の湿気といった、目には見えないものであったりと様々です。本章では、画家や作品ごとの気象表現の違いや工夫、また「気象」そのものだけでなく、どのようなモチーフを加えることで季節感を表しているのかといった点に注目しながら、四季を描く絵画をご覧いただきます。
また、円山派の画風によって描かれた「
-


国宝 円山応挙 雪松図屏風
江戸時代・18世紀図5
大きな松の木に降り積もった雪は、白い絵具ではなく、紙の白い地色を塗り残すことで表されています。また左隻の松葉は、下の方ほど葉の密度を高く描いており、こんもりとした量感を感じさせる工夫がなされています。描かれた経緯などは明らかになっていませんが、画面に刷 かれた金泥や、下部にみられる金砂子 は、陽光を反射する雪景色を想起させるとともに、祝祭的な気分を演出しているかのようです。
-

山口素絢 雪中松に鹿図屏風(右隻)
江戸時代・18〜19世紀図6
応挙の弟子・山口素絢による作品ですが、技法面で雪松図屏風とは対照的な表現が目立つ一作です。南天に積もる雪は、白い絵具を塗り重ねて表されるほか、左隻の松の木も写実的というよりは丸みを帯び、意匠化の進んだ形で表されています。
また雪松図屏風が金砂子を撒くのに対し、本作の画面下部には銀砂子が撒かれているようです。当初からのものかは不明ですが、光の反射で照り輝く雪の表現として、かつては今以上のきらめきを見せていたものと考えられます。 -

酒井抱一 秋草に兎図襖
江戸時代・19世紀図7
「野分 」とも呼ばれる、台風のような強い風に大きく穂を揺らす秋草と、驚いて巣穴から飛び出てきたかのような兎が描かれます。風を表す線は一見すると筆の線のように思われますが、これらは板の木目によるものです。薄い板を斜めに貼り付け、その木目を強風に見立てるという、抱一の機知が発揮された作品といえます。 -

川端玉章 「京都名所十二ヶ月 」より「六月四条納涼 」
明治31年(1898)図8
京都の景勝地や寺社を舞台に、旧暦一月から十二月までの風景を描く連作です。六月は「四条納涼」と題して、夜の四条周辺を描いています。墨のにじみ・ぼかしを存分に駆使してモチーフをぼんやりと描き、淡墨 を主体に用いることで、辺り一帯を湿気が覆う、蒸し暑い夏の夜がしっとりと表現されています。
展示室5四季を詠む
古来、人々は四季の風景の美しさ、あるいは気候の心地よさ・
また当館としては約6年ぶりに、
-

伝
小野道風 継色紙
平安時代・10〜11世紀図9
横長の画面の余白を意識しながら、流麗な筆運びによってしたためられた、散らし書きの書です。記された和歌は、『古今和歌集』にみえる壬生忠岑 の一首「くるるかと見れば明けぬる夏の夜を あかずとや鳴く山ほととぎす」で、夏の夜の短さを詠んでいます。 -

伝
紀貫之 寸松庵色紙
平安時代・11世紀図10
『古今和歌集』の秋の歌に収録される、紀友則 の「天の河あさせ白浪たどりつつ 渡り果てねば明けぞしにける」がしたためられます。2行目や5行目の「あ」の字にみられる三日月のような、縦方向に弧を描く曲線の細太 が美しい作品です。「寸松庵」は、旧蔵者であった武将・茶人の佐久間将監 ゆかりの、茶室の名前に拠っています。 -

伝
藤原行成 升色紙
平安時代・11世紀図11
清少納言の曽祖父にあたる、清原深養父 の私家集『深養父集』の最古の写本の断簡とされる書です。深養父の歌「かみなゐの山を過ぎ行く秋なれば 龍田川にぞ幣 はかずける」がしたためられます。蜘蛛 の糸のごとく細い線が、起筆やカーブする部分に絶妙な抑揚をつけながら、ゆったりと蛇行する川のように進んでいくのが見どころです。思わず指で筆致をなぞりたくなるような、連綿 (線を続けて書くこと)の多さも目を引きます。 -

舟月蒔絵二重手箱
室町時代・16世紀図12
満月のもと、秋草の茂る川面に舟が浮かんでいます。蓋の表裏に「夜」「雲」「遅」「秋」「水」「来」の文字が、風景に溶け込むように表され(芦手絵 )、『和漢朗詠集』の「秋の水漲 り来って船の去ること速やかなり、夜の雲収まり尽くして月の行くこと遅し」という漢詩を暗示しています。
展示室6四季と暮らし
本章では「四季と暮らし」と題し、明治の浮世絵師・
-

水野年方 「三井好 都のにしき」より「朝の雪」
明治37年(1904)図13
降り積もった雪の中を、雪下駄を履いて出かける女性が描かれています。歯の高い下駄やショールからも身に染みるような寒さが想像されますが、遠景が画面右に行くにつれて、ぼかし・にじみが強くなるように摺 られており、屋根の輪郭が曖昧になるほどの降雪を思わせます。
展示室7四季を束ねる
仮想空間たる絵画の中では、異なる季節の花々を同時に愛でることができれば…との望みも容易に叶えることができます。こうした装飾としての「四季の花づくし」的な作品がある一方、「四季の花が同時に咲く」様子を、この世の
また、
本章では、こうした一つの画面ないし、一組の作品内に春夏秋冬をあしらった美術に着目します。先に触れたような、作品ごとの趣向の違いにも目を向けつつご鑑賞ください。
-


重要文化財
日月松鶴図 屏風
室町時代・16世紀図14
金地の背景に大きく松と水流を配し、川辺に降り立ち遊ぶ鶴を描いた屏風です。右隻の右半分にはタンポポやスミレ、ツツジなどの春草が、左半分にはヤブコウジや背の低いアシといった夏草が描かれ、左隻ではそのアシが徐々に色褪 せながら穂をつける、秋の姿が表されています。また右隻には太陽、左隻には月をかたどった金属板がはめこまれており、春から秋、昼から夜という時の流れを一つの作品に収める点が見どころです。
-
川端玉章 草花図額
明治時代・19〜20世紀(寄託品)図15
きらびやかな金地に四季の花々を大きく描いた、特大の花束のような作品です。春はヤマブキ、夏は牡丹やアジサイ、秋はナデシコやキキョウ、冬は梅、椿(ないし山茶花)など大小入り乱れて咲き誇る様子は、本作を飾る空間全体をも明るく華やかにしたことでしょう。 -

狩野栄信 四季山水図
江戸時代・19世紀図16
大画面の四幅に、春夏秋冬の山水の景を描き分けた作品です。筆者の狩野栄信は、狩野派の副業であった絵画鑑定を通じ、和漢の古画を熱心に研究したことでも知られます。名画の図像を再構成・リメイクする手法に秀でており、本作も「四季」を題材に、中国絵画の名品の図像をパッチワークのごとく巧みに組み合わせ、荘厳で格調高い画面に仕立てています。 -

亀岡規礼 酒呑童子 絵巻(部分)
江戸時代・19世紀図17
源頼光とその配下の武将たちによる鬼退治の説話を描いた絵巻で、サントリー美術館の所蔵する狩野元信の同主題作品がよく知られています。ただし、本作はサントリー美術館本にない「四方四季 の庭」を描く点が特徴です。桜・藤・紅葉・冬枯れの庭と、四季の花鳥が同時に存在しており、鬼たちの暮らす空間が異界であることを強く印象付けています。
(画像は春部分)
- 会期
- 2026年12月12日(土)〜2027年1月30日(土)
- 開館時間
- 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日(但し1月4日、1月11日は開館)、年末年始12月28日(月)~1月3日(日)
- 主催
- 三井記念美術館
- 入館料
- 一般 1,200(1,000)円
大学・高校生 700(600)円
中学生以下 無料- ※70歳以上の方は1,000円(要証明)。
- ※20名様以上の団体の方は( )内割引料金となります。
- ※リピーター割引:会期中、半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
- ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。
- 入館
- 予約なしでご入館いただけます。
展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。
- お問い合わせ先
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)