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※本展は予約なしでご入館いただけます。

展覧会の趣旨

漆で絵を描き、金粉や銀粉を蒔きつけて文様をあらわす「蒔絵」は、日本文化において長きにわたり理想美の象徴となっています。本展覧会はMOA美術館、三井記念美術館、徳川美術館の3館が共同で開催するもので、平安時代から現代の漆芸家作品にいたるまで、3会場で国宝25件、重要文化財51件を含む計188件を展観して、蒔絵の全貌に迫ります。
三井記念美術館では、国宝7件、重文32件を含む計127件を展示。国宝「初音蒔絵調度」(徳川美術館蔵)をはじめ、平安時代の和様意匠の完成を示す国宝「澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃」(高野山金剛峯寺蔵)、鎌倉時代の手箱、琳派様式の蒔絵、江戸時代から近代に活躍した名工による作品など、各時代を代表する名品に、現代の人間国宝を加えた選りすぐりの蒔絵をご紹介します。
さらに国宝「源氏物語絵巻」(徳川美術館蔵)をはじめとした物語絵巻や屛風、仏教経典や書跡なども合わせて展観し、日本人が追求した美の系譜をたどります。

展示構成と主な出品作品

第1章源氏物語絵巻と王朝の美

平安時代、宮廷を中心とした貴族文化が爛熟して、和様の美の規範が生まれました。なかでも平安後期には、宮廷貴族たちの優雅な生活環境を背景として、純日本的な意匠の蒔絵調度が完成をみせます。国宝「源氏物語絵巻」は紫式部の『源氏物語』を絵画化した作品で、貴族の私的な生活の場に設置された調度類の具体的な様相を伝えています。

また、小野道風(おののみちかぜ)藤原佐理(ふじわらのすけまさ)藤原行成(ふじわらのゆきなり)三蹟(さんせき)の時代に和様の書が完成し、金銀を用いた豪華な料紙装飾による美麗な冊子や巻物が制作されました。その文様や葦手(あしで)絵には、蒔絵(まきえ)の意匠とも共通点が見出され、素材を超えた和様意匠の完成をみることができます。

第2章神々と仏の荘厳

贅を尽くした蒔絵の調度のなかには、神社の創建や造替遷座(ぞうたいせんざ)、天皇即位、特別な祈願の際に公家や武家などから奉納され、御神宝(ごしんぽう)として伝わったものがあります。それらの御神宝類には、宮廷の生活文化が色濃く反映されています。

また仏教においては、貴重な経典を納める経箱や仏具類を納める箱などが蒔絵で装飾されました。平安時代の仏教は、伝教大師最澄(767〜822)と弘法大師空海(774〜835)によって新たな動きが始まり、最澄が開いた天台宗が根本に据えた『法華経』は、作善(さぜん)として写経の功徳(くどく)を説いたため、美を尽くした装飾経が制作されました。一方、空海が請来(しょうらい)した密教図像や法具は、密教美術に大きな影響を与え、真言宗の各寺院には袈裟(けさ)や宝珠、経典を収めるための蒔絵の名品が伝来しています。

第3章鎌倉の手箱

鎌倉時代には、蒔絵粉を造る技術の向上により、研出(とぎだし)蒔絵、平蒔絵、高蒔絵の基本的な三技法が完成しました。特に丸粉の完成は、力強い輝きの金地(金沃懸地(きんいかけじ))を生み出します。またこの頃の蒔絵には、大型で内容品が付属する手箱の名品が数多く遺されています。

鎌倉時代の蒔絵の特徴のひとつに、和歌や漢詩にちなんだ歌絵の意匠があります。図様の中に文字を隠し入れることで、モチーフとなった和歌や漢詩を読み解かせる趣向です。

その一方、有職文(ゆうそくもん)や幾何学的な散し文をほどこす作品も伝わっており、構築的で規則的な新しい意匠の傾向もみられます。

第4章東山文化 ― 蒔絵と文学意匠

室町時代の蒔絵は、『古今和歌集』『千載(せんざい)和歌集』などの和歌やその注釈書、説話を題材にした文学意匠に特徴があります。同時に能と結びついた意匠も数多くみられ、謡曲とも関連づけながら鑑賞されたことがわかります。

またこの時代、蒔絵師の家系・幸阿弥(こうあみ)家と五十嵐(いがらし)家が登場したことも特筆されます。幸阿弥家は、初代道長が足利義政に仕えてから、代々にわたり室町幕府蒔絵師職を継承しました。五十嵐家は幸阿弥家とともに近世初頭に京で活躍し、その子孫は加賀蒔絵の基礎を築きました。

この頃の蒔絵技法は、前時代の技法を継承しながら、研出蒔絵と高蒔絵を併用した肉合(ししあい)研出蒔絵や金貝(かながい)切金(きりかね)(びょう)を多用するなど、複雑化の傾向がみられます。

第5章桃山期の蒔絵 ― 黄金と南蛮

長い戦乱の時代が終わりを告げ、豊臣秀吉(1537〜98)が天下統一を遂げると、各地で城郭や寺社、邸宅などの復興建築ラッシュがおこり、その建築空間や調度品を装飾する大量の蒔絵が求められました。そのため、複雑な工程を簡略化した高台寺蒔絵(こうだいじまきえ)が流行、秋草や桐紋などを大きく伸びやかに描く、大胆なデザインが好まれました。

桃山時代には、西洋から来日したキリスト教宣教師や商人たちが蒔絵に魅了され、「南蛮漆器(なんばんしっき)」と呼称される祭礼具(さいれいぐ)や西洋式家具などを注文して輸出しました。

また研出蒔絵や高蒔絵による伝統的な蒔絵も、大胆で明るい時代の機運をまといながら、脈々と続いています。

第6章江戸蒔絵の諸相

江戸時代にはそれまで培われてきた蒔絵の意匠や技法が集約され、多様な表現が試みられました。『源氏物語』をモチーフとする豪華絢爛な国宝「初音蒔絵調度」を制作した幸阿弥家をはじめ、古満(こま)家や梶川家が将軍家に、五十嵐家などが大名家に御用蒔絵師として仕え、室町時代以来の意匠や技術の伝統を継承する一方、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)(1558〜1637)、尾形光琳(おがたこうりん)(1658〜1716)、小川破笠(おがわはりつ)(1663〜1747)など個性的な活動をする作者も現れました。

さらに天下泰平を背景に、人々の暮らしにもゆとりが生まれ、印籠(いんろう)(くし)(さかずき)といった小品の蒔絵が都市で暮らす町人たちの生活を彩りました。
また、桃山時代の「南蛮漆器」で西洋貴族の人気を獲得した日本製漆器は、江戸時代に入るとオランダを介して西洋などに送られ、彼らの異国趣味を満足させました。

第7章近代の蒔絵 ― 伝統様式

近代の漆工芸は、江戸時代の優れた技法を受け継ぎ発展しながらも、明治維新の変革の中で、時代に適応した新たな技法や意匠を生み出しました。国内では欧米に倣った博覧会や展覧会が盛んに開催されるようになり、蒔絵も公の場における展示や販売が可能になりました。

また、帝室(皇室)による美術工芸作家の保護と制作奨励を目的とした帝室技芸員(ていしつぎげいいん)制度も、伝統的な工芸の保護・発展に大きな役割を果たしました。

本章では輸出用の蒔絵制作に携わり、国内外の博覧会にも出品するとともに、帝室技芸員としても活躍した柴田是真(しばたぜしん)(1807〜91)や池田泰真(いけだたいしん)(1825〜1903)、川之辺一朝(かわのべいっちょう)(1830〜1910)、白山松哉(しらやましょうさい)(1853〜1923)らの優品を紹介します。

第8章現代の蒔絵 ― 人間国宝

昭和25年(1950)に文化財保護法が制定され、工芸技術のうち芸術上、歴史上の観点から価値の高い無形の「技」を「重要無形文化財(人間国宝)」として指定し、伝統的な工芸技術の保存と伝承に助成がおこなわれるようになりました。昭和30年(1955)には人間国宝を中心に「社団法人日本工芸会」が設立され、工芸技術の保存や伝承、公開とともに「日本伝統工芸展」を企画し、芸術性の向上も目指されました。

漆芸分野で初の人間国宝として戦後の日本文化を導いた松田権六(まつだごんろく)(1896〜1986)は、自身の制作活動に加えて、古典研究や数多くの後継者の育成にも尽力しました。

会期
2022/10/1(土)〜11/13(日) ※会期中、展示替えを行います。
開館時間
10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日
10月24日(月)
主催
三井記念美術館、MOA美術館、徳川美術館、朝日新聞社
後援
國華社、漆工史学会、日本工芸会
協力
あいおいニッセイ同和損保

令和4年度日本博イノベーション型プロジェクト
補助対象事業
(独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)

入館料
一般 1,300(1,100)円
大学・高校生 800(700)円
中学生以下 無料
  • ※70歳以上の方は1,000円(要証明)。
  • ※20名様以上の団体の方は( )内割引料金となります。
  • ※リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
  • ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。
音声ガイド
音声ガイドでわかりやすく解説いたします。(貸出料 600円/1台)
展覧会公式サイト
https://maki-e.exhibit.jp
展覧会公式 Twitter
@Maki_e_ten
入館
予約なしで入館できますが、1階入口で消毒と検温をお願いします。
37.5 度以上の熱がある方は入館をご遠慮いただきます。入館にはマスクをご着用願います。また、展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。
お問い合わせ先
050-5541-8600(ハローダイヤル)
共同開催(巡回展)
【愛知会場】2023/4/15〜5/28(予定) 徳川美術館
※出品作品は会場ごとに異なります。

ご来館のお客様へのお願い

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