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2023/9/12(火)〜11/26(日)
10:00〜17:00
特別展 超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA
「超絶技巧!明治工芸の粋」展、「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」展で多くの観衆を魅了した「超絶技巧」シリーズの第3弾。金属、木、陶磁、漆、ガラスなど様々な素材により、新たな表現領域を探求する現代作家の作品をご紹介いたします。また、これらの作家を刺激してやまない明治工芸の逸品も併せて展覧。進化し続ける超絶技巧の世界をご堪能ください。
展覧会の趣旨
三井記念美術館を皮切りに2014年から2015年にかけて全国を巡回した「超絶技巧!明治工芸の粋」展、2017年から2019年に全国巡回した「驚異の超絶技巧! 明治工芸から現代アートへ」展で、多くの人々を魅了した「超絶技巧」シリーズの第3弾。本展では、金属、木、陶磁、漆、ガラス、紙など様々な素材を用い、孤独な環境の中、自らに信じられないほどの負荷をかけ、アスリートのような鍛錬を実践している現代作家17名の作品、64点を紹介します。いずれも単に技巧を駆使するだけでなく、「超絶技巧プラスα」の美意識と並外れたインテリジェンスに裏打ちされた作品をセレクトしました。
また超絶技巧のルーツでもある七宝、金工、漆工、木彫、陶磁、刺繍絵画などの明治工芸57点もあわせて展覧します。
明治工芸のDNAを受け継ぎながら、それらを凌駕するような、誰にも真似できないことに挑戦し続ける作家たちの渾身の作品を、ぜひその目でお確かめください。
現代作家
出品現代作家(五十音順)
青木美歌(ガラス)、池田晃将(漆工)、稲崎栄利子(陶磁)、岩崎 努(木彫)、大竹亮峯(木彫)、蝸牛あや(刺繍)、 小坂 学(ペーパークラフト)、長谷川清吉(金工)、彦十蒔絵 若宮隆志(漆工)、樋渡 賢(漆工)、福田 亨(木彫)、 本郷真也(金工)、前原冬樹(木彫)、松本 涼(木彫)、盛田亜耶(切り絵)、山口英紀(水墨画)、吉田泰一郎(金工)

【木彫】前原 冬樹 (1962年生まれ)
『一刻』スルメに茶碗
2022年 朴、油彩、墨
スルメ W:57.0cm
とことん

【木彫】大竹 亮峯 (1989年生まれ)
月光
2020年 鹿角、神代欅、楓、榧、チタン合金
H:51.0cm
大竹は、動植物など自然の造形物の形を精緻に写しとることで知られる。1年に1度、夜にだけ大輪の花を咲かせる月下美人を表す。47枚の白い花弁には鹿角を使用。驚くべきことに、花器に水を注ぐとこの花はゆっくりと開く。花器は
その蝙蝠羽部分には長い年月、地中に埋まっていた

【木彫】福田 亨 (1994年生まれ)
吸水(部分)
2022年 黒檀、黒柿、柿、真弓、朴、苦木、柳、ペロバローサ
W:45.2cm
福田は着色しないことにこだわる。蝶の羽はそれぞれの木材が持つ自然の色を組み合わせ、彼が独自に編み出した立体木象嵌という技法でできている。水滴は驚くべきことにその部分の厚みを残して板を彫り下げ、さらに研磨を重ねツヤをあげて表現している。つまり、蝶が載っている台座の部分は、

【金工】本郷 真也 (1984年生まれ)
Visible 01 境界
2021年 鉄、赤銅、銀
W:96.0cm
金属を叩いて変形させる

【金工】長谷川 清吉 (1982年生まれ)
銀製 梱包材
2023年 銀
W:17.5cm
長谷川は尾張徳川家の御用

【漆工】樋渡 賢 (1977年生まれ)
羽根蒔絵大棗
2022年 欅、漆、金、銀、赤銅
H:7.6cm
明治工芸の名工・白山松哉に迫る羽根蒔絵を極めようとしている樋渡。尾長、鳩、烏骨鶏などの羽根や、ふわふわの小さな羽毛まで、すべて

【漆工】池田 晃将 (1987年生まれ)
百千金字塔香合
2022年 漆、木曽檜、鮑貝、金
H:7.3cm
切り抜いた貝殻で文様をあらわす

【漆工】彦十蒔絵 若宮 隆志 (1964年生まれ)
「ネジが外れている」モンキー、工具箱、ねじ
2023年 モンキー:麻布、天然漆、銀粉
工具箱・ネジ:ヒバ材、漆、銀粉
工具箱 W:36.6cm
漆芸家・若宮隆志がプロデュースする輪島の漆芸職人集団、彦十蒔絵による「

【陶磁】稲崎 栄利子 (1972年生まれ)
Amrita
2023年 陶土、磁土
サイズ可変
微細なパーツを継ぎ合わせ、極めて繊細な陶磁作品を制作する稲崎。焼成された磁器にもかかわらず、曲げることはもちろん、捻ったり、畳んだりできる。袋状のパーツは、
「Amrita」は、インド神話で不死の霊薬を意味する。

【ガラス】青木 美歌 (1981–2022)
あなたと私の間に
2017年 ガラス、ステンレススティール
H:135cm
粘菌のようなものがガラスのテーブル上に増殖し、その裏からは根が下に向かって伸び、作品自体が空中に浮遊しているようだ。生命の循環や命の繋がりが、繊細極まりない透明ガラスのインスタレーションで表現される。チューブやガラス棒を用いて、卓上のバーナーでガラスを溶かしながら制作していくバーナーワークの技法で作られた作品。

【切り絵】盛田 亜耶 (1987年生まれ)
ヴィーナスの誕生II
2022年 紙
H:146.5cm
切り絵による大作で、2017年に制作し、東京藝術大学の修了制作展で発表された「ヴィーナスの誕生」の続編。ボッティチェリへのオマージュで、モデルの目線やポーズを微妙に変え、樹木が絡みついた空間の中にヴィーナスを象徴する動植物が共存している。理想化された名画の世界を等身大のアジア人として人体を描き、切り抜くことで、現代に生きる身体性を追求し、そこに生じる名画とのズレや価値観のズレを表出する。
明治工芸

【漆工】白山 松哉 (1853–1923)
羽根蒔絵香合
清水三年坂美術館蔵
φ:5.6cm
明治時代を代表する蒔絵師・松哉の作品のなかでも、繊細さと精緻さを最も極めているのが、鳥の羽根を蒔絵で表した茶器や香合である。大小の羽毛は、金・銀研出蒔絵を中心に、一部に色漆などを交えて表されている。その繊細な表現は、厳選された蒔絵粉、自製の極細の筆といった松哉こだわりの材料や道具や、息が詰まるような超絶技巧によって支えられている。

【牙彫】安藤 緑山 (1885–1959)
柿
清水三年坂美術館蔵
H:24.5cm
「美術館に果物?! 野菜?!」でおなじみの人間3Dプリンター・緑山が得意とした枝付きの柿。一部が変色し、そり返ったヘタ、皮についた黒いキズなど、細やかな描写が見ごとである。

【金工】正阿弥 勝義 (1823–1908)
糸瓜花瓶
清水三年坂美術館蔵
H:33.3cm
銅の合金で糸瓜を象った花瓶。糸瓜は鍛造で、蔓状に絡みつく茎と葉で支えた意匠となっている。正面には力いっぱい足を延ばして飛んでいる蛙が添えられているが、右手の背後の穴から蛇が顔を出して蛙を狙っていることに気が付く。突然現れた蛇に驚いた蛙が慌てて逃げているさまが描写されているのである。

【七宝】並河 靖之 (1845–1927)
草花図花瓶
清水三年坂美術館蔵
H:31.0cm
並河の七宝は、その細やかな装飾ゆえ比較的小品が多い。しかし、本作は30cmを超える大作であり、類例は僅かといわれる。漆黒の釉を背景に、紅葉や金木犀、芙蓉、萩、百合、菊など色鮮やかな植物が配されている。口縁と底部の
- 会期
- 2023/9/12(火)〜11/26(日)
- 開館時間
- 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日(但し9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
- 主催
- 三井記念美術館、朝日新聞社
- 協力
- 清水三年坂美術館
- 監修
- 山下裕二(明治学院大学教授)
- 企画協力
- 広瀬麻美(浅野研究所)
- 入館料
- 一般 1,500(1,300)円
大学・高校生 1,000(900)円
中学生以下 無料- ※70歳以上の方は1,200円となります。(要証明)
- ※20名様以上の団体の方は( )内割引料金となります。
- ※リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
- ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。
- 入館
- 予約なしでご入館いただけます。
展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。
- お問い合わせ先
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 巡回先
- 岐阜県現代陶芸美術館 2023年2月11日(土・祝)〜4月9日(日)【終了】
長野県立美術館 2023年4月22日(土)〜6月18日(日)【終了】
あべのハルカス美術館 2023年7月1日(土)〜9月3日(日)【終了】
富山県水墨美術館 2023年12月8日(金)〜2024年2月4日(日)
山口県立美術館(予定) 2024年9月12日(木)~11月10日(日)
山梨県立美術館(予定) 2024年11月20日(水)~2025年1月30日(木)
※出品作品は会場により一部異なります。