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開催中
2023/12/8(金)〜2024/1/27(土)
10:00〜17:00
国宝 雪松図と能面×能の意匠 特集展示 新寄贈能面
年末年始は恒例の国宝「雪松図屏風」を展示します。また、今回は能面と能の意匠をテーマとし、当館が所蔵する能面・能装束のほか、能にまつわる茶道具などをご覧いただきます。能の厳かな雰囲気とともに、華やかで美しい色やデザイン、作品の中に広がる豊かな能の世界をお楽しみください。
展示室7では、橋岡一路氏より新たに寄贈を受けた能面をご紹介します。
展覧会の趣旨
① 国宝「雪松図屏風」
毎年の恒例展示となりました国宝「雪松図屏風」。今回も展示室4にて公開します。この年末年始のひとときを、円山応挙の代表作として名高い「雪松図屏風」とともにお過ごしください。
② 能面×能の意匠
能面は、重要文化財 旧金剛宗家伝来能面を「表情」に着目しご紹介します。一部の能面は裏側からもご覧いただくことができますので、能面のバラエティ豊かな表情や立体感を間近でお楽しみください。
また「能の意匠」をテーマとして、能装束を中心に展示します。「意匠」とは、美術において色や形など装飾的に工夫を凝らすことをいいますが、能装束に表された色・文様などを紐解きながら、その華麗な美しさに迫ります。さらに、豪華な蒔絵が施された能の楽器のほか、展示室3(如庵)では能にまつわる銘を持つ茶道具を展示します。
③ 特集展示 新寄贈能面
このたび能面作家の
主な展示作品
国宝 雪松図屏風
国宝雪松図屏風
円山応挙筆 江戸時代・18世紀図1
三井家の特注品とされ、特別に仕立てられた白い紙に、墨・金泥・金砂子を用いて、雪中の松と土坡が立体的に描かれている。
能面
本展では能面の「表情」に着目します。「表情」とは、感情が顔にあらわれたものです。人間には、基本六感情(喜び・嫌悪・驚き・悲しみ・怒り・恐れ)があり、それらの感情が顔のパーツ・骨格・筋肉・皮膚・
一方、能面についてはどうでしょうか。能は役者が能面をかけて舞い謡ういわゆる仮面劇です。しばしば無表情のことを「能面のような顔」と言い表すことがありますが、能面は決して無表情ではありません。舞台上で能面の目や口が動くことはありませんが、観客は豊かな感情を受け取ることができます。これは、能面があらゆる感情を凝縮した一つの造形であるからともいえます。そこで、様々な感情が能面の表情としてどのように表されているのか、能面における独特の表現方法のみならず、彫刻的な立体表現・質感表現などにも目を向け、能面の表情の魅力を浮き彫りにします。
重要文化財翁 (白色尉 )
伝春日作 室町〜桃山時代・14〜17世紀図2
天下泰平・五穀豊穣を祈る儀式的な演目『翁』に登場する主役の老翁で用いられる。目を「へ」の字型に刳り抜いて朗らかな笑みを表し、顎 の部分を繋いだ「切顎 」が表情に動きを与えている。緩やかな皺の起伏や柔らかい皮膚の質感表現もみどころ。
重要文化財孫次郎 (ヲモカゲ)
伝孫次郎作 室町時代・14〜16世紀図3
女面の白眉とされる名物面。作者である孫次郎が夭折した妻の面影を写したという伝承があり、儚げで神秘的な表情が特徴である。向かって左側の目尻・小鼻・口角がわずかに上がっており、角度によって多様な表情を見せてくれる。
重要文化財顰
伝赤鶴作 室町時代・14〜16世紀図4
鬼神の面。眉を寄せ、眉尻を大きくつり上げ、開口し牙を見せて怒りの表情を表す。他の鬼神面と比べると表現の誇張が比較的少なく、自然な彫りで表わされ、特に瞳の上部を覆うような眉の筋肉の彫りが秀逸である。
重要文化財中将 (鼻まがり)
伝福来作 室町時代・14〜16世紀図5
中将は在原業平をモデルとしたともいわれる男面。「鼻まがり」と称される通り、鼻筋が向かって右方向に曲がっている。ハの字に寄せた眉や少し上がった口角などとともに哀愁の漂う独特の表情を作り出している。
重要文化財大飛出
伝赤鶴作 室町時代・14〜16世紀図6
雷神や蔵王権現の役に用いられる。名称のとおり大きく見開き飛び出した金色の目が特徴である。高く引き上げた眉、カッと開いた口などインパクトのある表情で、内に秘めたパワーを放出するような力強さがある。
重要文化財景清
出目満照作 桃山時代・16〜17世紀図7
源氏に敗れ流罪とされ盲目の身となった武将、平景清の晩年の姿を表したとされる。窪んだ目、削げた頬、両端の下がった口角、額に浮き上がる血管からは、落ちぶれた武将の無念さと抑えることのできない怒りが感じられる。
重要文化財痩男
伝日氷作 室町時代・14〜16世紀図8
幽霊の役として用いられる。死相を表したものとされ、肉が削げ落ち、骨が浮き出た様相が巧みに表される。目は虚ろで僅かに開けた口にも力はなく、もはや表情を失ってしまった不気味な様がうかがえる。
重要文化財般若
伝龍右衛門作 桃山時代・16〜17世紀図9
女性の嫉妬や恨みが極まった様子を表すとされる女面。頭には二本の角が生え、額には血管が浮き出て、口が裂けており、激しい怒りを表すが、眉をひそめた眼差しからは、やりきれない悲しみも感じられ、複雑な心境がその表情からうかがえる。
能装束
能舞台を彩る能装束は様々な種類があり、組み合わせや着方によって配役の性格を表します。今回は、能装束の中でも特に華麗な
紺繻子地雪輪松竹菊蒲公英模様縫箔
江戸時代・18世紀図10
全面に表された金色の細い縞模様は、摺箔 (布に金・銀箔を貼り付ける技法)で竹を表したもの。そこに菊や雪輪(雪をかたどった文様)などが配され、雪輪の中には蒲公英 ・燕子花 ・浜松などが表される。装束の紺地と竹の金、花々の鮮やかな色合いと、趣向を凝らした文様表現がみどころである。
紅地御簾葵檜扇模様唐織
明治〜大正時代・20世紀図11
全面に織り表されているのは、平安時代の御殿などで簾 として用いられた御簾 。そこに葵と檜扇 をあしらう。全体的に色味は抑えられ、まるで『源氏物語』の一場面が思い描かれるような情景溢れる唐織である。
紅地網目蝶罌粟模様厚板唐織
明治時代・20世紀図12
紅地に金糸を用いて網目文が全面に織り出され、彩り鮮やかな罌粟 の花と蝶が配されている。罌粟と蝶は大ぶりで形状も変化に富み、全体的に華々しく生き生きとした動きが感じられる。
紅白萌黄段扇面秋草観世水模様唐織
明治〜大正時代・20世紀図13
鮮やかな段替わりの地に、秋草・観世水 ・扇面が配されている。観世水は渦巻く水を意匠化した文様で、ここでは流れるような水の動きが強調されている。水辺に咲く秋草、水面に浮かぶように配された扇面など、華やかさの中にも風情を感じる一領である。
新寄贈能面
展示室7の「特集展示 新寄贈能面」では、能面作家・
橋岡一路氏は、昭和6年(1931)に観世流の名家である橋岡家に生まれました。戦後は能楽の衰退により能面作家の道へ進み、多くの能面の制作や修復を手掛けました。
なお、橋岡家は明治時代に京都の三井家に出稽古で出入りし、三井家の東京移住に伴って三井家の観世擁立の橋渡しをするなど、三井家との深い繋がりがありました。このため、当館では平成23年(2011)にも橋岡家伝来の能面などの寄贈を受けたほか、橋岡氏は当館所蔵の能面の修理も行っています。
大癋見
昭和25年(1950) 6月17日作図14
(本面:伝赤鶴作 宝生会蔵)
橋岡氏19歳の時の作品(2作目)。面裏に「十九才一路作」の朱書がある。
痩男
昭和57年(1982) 11月27日作図15
(本面:河内作 梅若万三郎家蔵)
喜多流十五世宗家・喜多実氏の所望による作。完成翌日の昭和57年11月28日の喜多会別会の『阿漕 』にて用いられた。
節木増女
平成9年(1997) 9月9日作図16
(本面:重要文化財 伝増阿弥作 宝生会蔵)
能面制作50年目の記念作。鼻の付け根にある木の節から滲み出たヤニが本面の見どころであり、本作でもその部分が写されている。
泥 小飛天
平成13年(2001) 10月5日作図17
(本面:作者不詳 宝生会蔵)
橋岡氏古稀100面達成の記念作品である。
- 会期
- 2023/12/8(金)〜2024/1/27(土)
- 開館時間
- 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日(但し1月8日は開館)、年末年始 12月25日(月)〜1月3日(水)、1月9日(火)
- 主催
- 三井記念美術館
- 入館料
- 一般 1,000(800)円
大学・高校生 500(400)円
中学生以下 無料- ※70歳以上の方は800円となります。(要証明)
- ※20名様以上の団体の方は( )内割引料金となります。
- ※リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
- ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。
- 入館
- 予約なしでご入館いただけます。
展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。
- お問い合わせ先
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)